万ちゃんのバリアフリーよもやま話 多目的優先トイレ化賛同法人、順調に増えてきました。

 左片麻痺で車イスユーザーの私は、当然ですが行動範囲が限られます。それを、懸命なリハビリや道具に頼ることで少しでも範囲を拡大できるように努めています。そのひとつが鍼治療です。先日、以前から親交のある台湾の観光行政のお偉いさんに紹介していただいた台湾人の鍼灸師の先生に鍼治療をしていただきました。偶然、隣の市で開業されていて、車で30分くらいのところだったので、妻に連れて行ってもらって通うことになったのですが、数日前に2回目の治療を受けてきました。鍼治療中、妻はベッドサイドで見ているのですが、1回目の時に比べると、全体的にピクンピクンと反応していたと教えてくれました。

 その2回目の治療の日の午後、リハビリの予定だったのですが、リハビリ担当の作業療法士さんが、「筋緊張がすごくほぐれている」「可動域が大きくなっている」と驚きを隠せない様子でした。また、夕食時の妻との会話も生活圏が広がることが前提の内容で、どこそこに行ってみたいという話ばかりでした。電動車いすを導入して、いきなり行動半径が広がり、電車での移動もできるようになりましたが、身体的な自由が増えると、さらに広がることは間違いないと思います。

 個人的にも発展途上ですが、社会環境的にも共生社会への進展を進めたいと思っての活動が徐々に進行し始めました。まずは私の経験、体験をもとに提案をしていきたいと思い、私の生活圏で、バリアを指摘し、バリアフリー化を進めようとしています。私の生活圏は、地元が東久留米市、そこからの移動範囲で行くと、行政区では、西東京市清瀬市練馬区、豊島区、施設関連では、駅施設・交通機関西武鉄道営団地下鉄東京メトロJR東日本、商業施設では、イトーヨーカドーイオンモール、パルコ、西友、クルネ、西武百貨店東武百貨店などです。

 そこで、それぞれの管理運営法人に共生社会への入り口として、「多目的誰でもトイレの多目的優先トイレ化」の提案お願いを、各法人のホームページのご意見お問い合わせフォームから送りました。各法人の反応対応はバラバラですが、概ね担当部署で今後の参考にするというものでしたが、すでに構内放送やポスターで適正利用を促しているとして、ほぼゼロ回答のところもありました。そんななかイトーヨーカドーさんは、全体的には今後の運営の参考ということでしたが、東久留米店はすぐに対応する旨のご連絡をいただきました。ほかにもパルコさんも今月中に対応しますとのことでした。徐々に徐々に、共生社会の姿が明確になって来つつあります。今後もあせらず慌てず、活動していきます。

万ちゃん(村上万里)のバリアフリーよもやま話 言いたい放言「誰でもトイレの利用マナーアップキャンペーン 東久留米市でスタート‼」

 衆議院が任期満了を目前に大儀無きまま解散されました。正確な所はわからないのですが、憲法上、解散は内閣の不信任決議に対する内閣の対抗策だったと思います。なので、私は解散権の乱用だと思うのです。元々弁護士さんで政治家になられた方、口をとんがらせて駄々っ子みたいな文句を言ってないで、きちんと憲法論議に持ち込んで、非を責めたほうが格好良かったと思うのですが。なんか小さく思えてとても政権を委ねようという気にはならないのは私だけでしょうか。

 そんなこんなで選挙になりましたが、そこで頭をよぎったのが、投票所のことです。皆さんのところの投票所はどこでしょうか。私のところの投票所は通学エリアの小学校の体育館です。この小学校、学校の敷地が公道より1メートルぐらい高いところにあり、門を入ってすぐ坂になっています。前回の選挙は都議選だったと思いますが、雨でした。妻との話で、学校では車イスはきついだろう、と門のところまで車で送ってもらい、杖で行ったのですが、ぬかるんだ坂を杖を突いて上がるのは本当に大変でした。途中であきらめて帰ろうかと思うくらいでしたが、戻るのも大変で、進んだほうが良いということで上ったのですが、そのあとも、学校というのは段差だらけです。そうした経験を踏まえて、市役所で投票することができる期日前投票に行くことにしました。

 そうすると、いつ行くかということに話は移ります。たまたま、この前の木曜日に鍼治療の予約をしていて、妻の運転で出かけることになっていたので、その帰りに投票に行こうということになりました。予定通りに、鍼治療を終えて市役所に着きました。地下の駐車場の車いす使用者専用の駐車スペースに車を止めて、エレベーターで期日前投票所のある2階のフロアに向かうと、「そうだっ、誰でもトイレ見てみよう」と思いつきました。先日、担当の課長さんと打ち合わせした後、初めての市役所訪問でしたので、役所内調整が済んで掲出に至ったかどうかをチェックしよう、と思ったのです。

 さて、トイレの前まで来て、ドアを見ると何の表示もありません。ああ、残念、まだ調整中かと思いながら、ここまで来たし、トイレを済ましてから投票に行こうと、ドアの開閉ボタンのほうに目を移すと、ボタンの上に掲示があったのです。私の中では、突然「誰でもトイレの利用マナーアップキャンペーン」が始まったのです。いや正確にはここ東久留米市で始まっていたのです。

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エレベーター前で待っていた妻に声をかけて見てもらうと「始まったね、よかったね。頑張ってね。」と返してくれました。よし、拡めるぞ、と決意を新たにしました。

万ちゃん(村上万里)のバリアフリーよもやま話 言いたい放言 「少女が教えてくれました」

 自宅マンションの敷地内通路を電動車いすで、管理員室がある別棟に向かっていると、同じマンションに住む小学生低学年くらいの少女が私に気づいて「あっ、車イスの人が、坂を上ろうとしているよ、ママ」と。私はちょうどその時別棟の入り口のスロープを上るところでした。するとその女の子は、横にいた母親に「ママぁ、あの人一人で上れるのかなあ?」と、話しかけながら、私のことをじっと見ていてくれました。

 私は、彼女の感覚的に受け止めて発してくれたこの二つのフレーズにちょっと感動しました。というのも、すごく素直に思ったことを口にしていると思うのですが、これはおそらく多くの人も感じていることを代弁してくれているのだと思うからです。具体的に言うと、「あっ」という「気づき」と「上れるのかなぁ」という「気づかい」です。先ほど、代弁と記しましたが、私も障がい者になる前はそうだったのですが、普通に目の前に車いすの人や松葉づえをついている人とか一本杖をついている高齢者、また白い杖を使っている目の不自由な方を見かけると「あっ」と思い、「大丈夫かな」と思うと思います。それが自然ですよね。ですので、彼女の素直な言葉を代弁と言ったのです。また、これが「いつでもだれでもバリアフリー」の基本だと思うのです。ところが、大人になるにしたがって、こうした言葉を口にするのには勇気が必要になってくるのです。

 また、その女の子は、「あれっ」と、不思議そうに私のほうを見て声を上げました。私の電動車いすにも興味を持ったみたいでした。そうですよね、足もステップに乗ったままで動いていないのに、車イスは勝手にスロープを上っていったのですから。思わず私は、彼女のママに「よかったらご一緒に近くでご覧になりませんか」と声をかけました。良い機会だと思ったのです。私の声かけに、彼女たちは近づいてきたので、私は、電動を手動に切り替えて、足で漕いで見せて、仕組みを簡単に説明しました。こういう機会は、できるだけ多く作ることができればいいなと思いました。

 私は、すべての人に優しいバリアフリー共生社会の入り口は、こういうところにも見つけることができると思います。一般の方は、福祉機器の情報に触れる機会はなかなかないと思いますので、今回のことは、これを一度に体験できた機会だったのではないでしょうか。私も図らずも障がい者になってしまったのですが、世の中には同じような方がたくさんいて、皆さん、様々な努力をすることで社会生活を送っています。そのさまざまな努力は当事者だけでなく、その周りの人の思いそのものも含まれての努力であり、その努力の総体が設備となると思っています。バリアフリー共生社会の基本は、気づきと知識と設備だと思うのですが、まずは、皆さんの気づきと気づかいから始まるのです。少女に教えてもらいました。

万ちゃんのバリアフリーよもやま話 言いたい放言 「トイレマナーキャンペーン始めました」

 ずっとぶつぶつ言ってきましたが、はっきり言います。「出かけるとき、頭をよぎるのは、行き先には車イスで入れるトイレあるかな」「トイレに手すりついてるかな」なのです。私は、左片麻痺なので、手すりも右についていてくれると非常に嬉しいのですが、そんな贅沢は言いません。左手すりであっても、ついていてくれさえすれば頑張れます。要はトイレ問題がクリアできれば、安心して外出できるのです。

 ところがです。「あそこには車イス用トイレがあるから大丈夫だな」と思っていても、当然使用中の場合もあります。それでそのトイレの前で待っていると、中から、明らかに中で着替えてましたという会話の同じフロアにあるブティックの大きなショッピングバッグを抱えた女性たちが出てきたり、驚くことにカップルが出てきたこともありました。

 そこで提唱したのが「誰でもトイレ(多機能トイレ、多目的トイレ)の利用マナー・マナーアップキャンペーン」とその一環としての「誰でもトイレ(多機能トイレ、多目的トイレ)の必要者優先トイレ化」です。それで、このブログやフェイスブックでブツブツ言っているだけではしょうがないので、先ずは地元の公共施設からだな、と思い、以前から懇意にしていた東久留米市議さんに相談して、東久留米市役所の施設を管理を担当している方にあって来ました。

 その方には、たいへん熱心に「そのほかに気になったことはないですか」と何度も聞いてくださり、私も日頃気になっていたことをトイレ以外のこともいろいろとお話申し上げました。それで、その場でまず、市役所庁舎内の多機能トイレに掲出できるように役所内で調整をしてくださり、さらに別の市の施設も同様に掲出に向けて、各担当部署とも調整をしてくださることになりました。一気にキャンペーンが始まってしまうことになったのです。そこで私は、これから状況を見ながら、足元の東久留米市内の商業施設や他の自治体にも提案を展開していくことにします。皆さんも応援よろしくお願いします。

万ちゃん(村上万里)のバリアフリーよもやま話 言いたい放言 外出時の不安

 台風の影響による風雨が心配された木曜日、リハビリメニューとして予定していた「電動車いすでの電車に乗っての移動の練習」で隣駅まで行って戻ってきました。車イスユーザーになって初めて、電車に乗ったのです。リハビリ入所していた老健を退所して以降これまで、連れ合いかビジネスパートナーの運転による車に頼っての外出だったのが、今後は自宅周辺だけでなくちょっと遠出も可能になる予定です。

 電車を利用するにあたっては、鉄道会社によっても違うのかもしれませんが、特に事前連絡する必要もなく、乗車希望の電車の発車時刻より少し早めに、10分15分くらい早めに駅に出向けば介助対応していただけるとのことだったので、15分前に改札横の案内所にたどり着くと、あとは事務連絡してくださり、ホームで待っていると、駅員さんが簡易スロープを持って現れ、電車が着くと難なくスロープを設置してくださいました。また、その場から降りる駅にも乗る電車の時刻と乗る位置を連絡してくださいました。それで到着駅でも私の乗降口のところで、駅員さんがしっかりと待機していてくださり、予想以上にスムーズに動けました。いよいよかな、と、ちょっとワクワクしています。

 そうなってくると、私のような車イスユーザーにとっては、外出時、外出先での最大の不安要素が浮かび上がってきます。トイレです。最近は車イスで入室が可能な、ユニバーサルデザイン仕様のトイレを設置してくださっているところも増えているのでありがたいのですが、時々残念な事態に遭遇することがあります。もちろん、どなたでも利用は可能なのですが、表示してある使い方とは違う使い方をされている健常者の方がいらっしゃるのです。

 木曜日の電車練習の帰路、駅の改札への出入り口の脇にある誰でもトイレに入ったのですが、ドアを開けた瞬間、タバコの香りが漂ってきたのです。私も以前喫煙をしていましたが、さすがにドアを開けた瞬間のその匂いにはびっくりしました。最近は喫煙所以外の場所での喫煙は禁じられているところも多いですし、喫煙所そのものも少なくなっていることも事実ですが、さすがに、完全個室での喫煙はやめて欲しい、いや、やめるべきだと思います。以前、ある芸人さんが女性との密会に利用していたという話もありました。私のような車イスユーザーのような人は、ああしたトイレしか利用できないので、そのあたり、慮って欲しいです。このことも含めて、様々な所でこのような事態に遭遇するので、「誰でもトイレ」の「優先トイレ化」を進める活動を始めました。

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万ちゃん(村上万里)のバリアフリーよもやま話 言いたい放言「共生社会を実現する第一歩」

 パラリンピックの開催を契機として、障がいを持っている人の力強さと可能性を感じ取り、そこに、ハンディキャッパーが社会で活躍する姿を思い描きながら、感動とともに心に刻み込んだ方もたいへん多かったのではないでしょうか。そういう意味では、多様性にあふれる共生社会の実現を歓迎する素地は整ってきたのではないでしょうか。

 私たちはすでに高齢化した社会で生活しています。その社会が異質・多様性を許容する社会に成熟し、真の共生社会に昇華していく過程において、当事者目線のバリアフリーなどの生活者の潜在ニーズを発見し続けることで公共サービスが開発されていくことになると思います。その際には、公共セクターの制限も緩和されたり、排除されるとともに社会のトレンドが取り入れられ、生活者ニーズの多様性への理解も進み複眼的視野が成立することになるはずです。これにより公共サービスの満足度と妥当性が高まり、これらもまた真の共生社会の実現の大きな支えとなると思います。

 また、数字だけでみると、先日の敬老の日を前に厚労省が発表した65歳以上の高齢者の数は約3640万人です。また、身体障がい者は436万人です。日本の推定人口は1億2521万人ですから、日本の人口の約1/3は物心両面で何らかの形で手を差し伸べてもらえることを期待している存在ではないかと推察されます。ここにいう物心両面の物とは、インフラを含むすべての施設・設備・用具といった物理的なものであり、「心」とは、「物」にもつながっていく「気づき」をはじめとしたハートフルアクトにつながる「思いやる心」なのです。

 自分が障がい者になってはじめて気づいたことも多いのですが、ひとことにバリアフリーといっても、形ばかりで現実的には障壁打破に至っていないバリアフリー、私はこれを「おざなりバリアフリー」「いまいちバリアフリー」と呼んでいますが、「せっかく対応していただけるのなら、もう少しこうして」ということも多いのです。具体的な例を挙げると、せっかく手すりを設置しているのにデザイン・外見を優先したため、太すぎて握れない、つかめない、といったようなことも散見できるのです。そういう意味では、もっと理解を深めて、そして深めた理解を広めて共有して欲しいと思います。それが多様性を相互理解した共生社会の実現を前に進める第一歩だと思います。

万ちゃん(村上万里)のバリアフリーよもやま話(言いたい放言) リハビリに目標を設定

 脳出血で倒れ、救急搬送されてから早くも二年半が経過しましたが、この間、意識が戻ってからはずっとリハビリに励んできました。担ぎ込まれた総合病院に始まり、回復期に入ってのリハビリテーション病院、そこで180日間過ごしてからの老健での3か月、さらには老健を退所して自宅に戻っての二年弱は別の老健への通所リハビリと訪問リハビリとで、都合約二年半のリハビリ生活でした。

 右の視床脳出血の後遺症でしたから、いわゆる左片麻痺です。左手は肩から指先まで機能全廃(障害者手帳にはそう書いてありました)で、左肩から腕がただだらりとぶら下がっているだけで、左足もまともに動きません。顔も左側は分厚いゴム版を張り付けているような感じで、ほぼ感覚がありませんでしたので、よくほほの内側を嚙んだものでした。そんな状態でのリハビリは、運動機能の回復ということばかりを考えて、というより、それ以外は考えるゆとりもなく、リハビリに臨んでいました。そのかいあってか、左手は多少持ち上がるようになり、30分程度であれば杖なしでも歩けるようになりました。また、食事の際もほほの内側を噛むこともほぼなくなりました。

 そうなってくると、元来欲深い人間ですので、いろいろとやりたいことが頭をもたげてまいりました。運動機能ばかりでなく、社会生活への欲求も待ってましたとばかりに出てまいりました。具体的には、①ここまでは比較的近くに住んでいる仕事仲間に頼んで、車で運んでもらっていた都心での打ち合わせにも、単独行動で電車に乗って出かけることができるようになる、②完全とは言わないまでも、何とか工夫してゴルフ場でゴルフを楽しめるようになる、③かつては、週末の趣味にしていた洋風料理の創作活動を再開する、④3人に増えた孫たちと駆け回るのは無理だとしても、多少は絡んで遊んであげる、ではなく、遊んでもらえるようになる(笑)、の四つを掲げました。

 そして通所している老健と訪問リハビリのそれぞれの理学療法士作業療法士さんに具体的な欲求を提示し、実現するためにクリアしなければならない課題を目標として設定することによって、リハビリの更なるモチベーションにつなげようということになりました。老健に通っていると、運動機能の維持を目的としている調光器高齢者の方々と一緒のスペースでリハビリするため落ち気味になるモチベーションを高めることが可能になったので、その点でもよかったと思っています。さて、更なる高みを目指して、頑張ります。