万ちゃん(村上万里)のバリアフリーよもやま話 言いたい放言「共生社会を実現する第一歩」

 パラリンピックの開催を契機として、障がいを持っている人の力強さと可能性を感じ取り、そこに、ハンディキャッパーが社会で活躍する姿を思い描きながら、感動とともに心に刻み込んだ方もたいへん多かったのではないでしょうか。そういう意味では、多様性にあふれる共生社会の実現を歓迎する素地は整ってきたのではないでしょうか。

 私たちはすでに高齢化した社会で生活しています。その社会が異質・多様性を許容する社会に成熟し、真の共生社会に昇華していく過程において、当事者目線のバリアフリーなどの生活者の潜在ニーズを発見し続けることで公共サービスが開発されていくことになると思います。その際には、公共セクターの制限も緩和されたり、排除されるとともに社会のトレンドが取り入れられ、生活者ニーズの多様性への理解も進み複眼的視野が成立することになるはずです。これにより公共サービスの満足度と妥当性が高まり、これらもまた真の共生社会の実現の大きな支えとなると思います。

 また、数字だけでみると、先日の敬老の日を前に厚労省が発表した65歳以上の高齢者の数は約3640万人です。また、身体障がい者は436万人です。日本の推定人口は1億2521万人ですから、日本の人口の約1/3は物心両面で何らかの形で手を差し伸べてもらえることを期待している存在ではないかと推察されます。ここにいう物心両面の物とは、インフラを含むすべての施設・設備・用具といった物理的なものであり、「心」とは、「物」にもつながっていく「気づき」をはじめとしたハートフルアクトにつながる「思いやる心」なのです。

 自分が障がい者になってはじめて気づいたことも多いのですが、ひとことにバリアフリーといっても、形ばかりで現実的には障壁打破に至っていないバリアフリー、私はこれを「おざなりバリアフリー」「いまいちバリアフリー」と呼んでいますが、「せっかく対応していただけるのなら、もう少しこうして」ということも多いのです。具体的な例を挙げると、せっかく手すりを設置しているのにデザイン・外見を優先したため、太すぎて握れない、つかめない、といったようなことも散見できるのです。そういう意味では、もっと理解を深めて、そして深めた理解を広めて共有して欲しいと思います。それが多様性を相互理解した共生社会の実現を前に進める第一歩だと思います。