万ちゃんのバリアフリーよもやま話 Ⅲ ー今の気持ちー

 昨年末に退院して以来、障がい程度2級の障がい者である私の受け入れ態勢整備や新年の準備のための買い物や食事などのために、家内をはじめとする家族に介助をしてもらいながら外出をしてきました。そして、その際に車イス初心者として感じたことを記してきていますが、今回は、今思っていることを記したいと思います。

 今年は東京オリンピックが開催され、その直後にはパラリンピックも開催されます。東京のみならず、日本という国に障がいをお持ちの方もかなりお見えになると思います。これを契機に2020年をバリアフリー元年と位置付けて、様々な施設が愛あるバリアフリー設備で満たされてほしいなと思います。

 決して贅沢を言うつもりはありません。私は健常者である家族や友人たちと同じ時間と空間を共有できればうれしい、健常者の方々共存できればうれしい、できるだけ健常者の方々の手を煩わせたくないと思っているのです。それが贅沢なんだと言われてしまえばこれ以上何も言えなくなるのですが、話を聞いてくださると信じてもう少し続けます。

 私は、バリアフリーのキーワードは「安心」だと思っています。私は何をやるにつけても健常者の方の倍は時間がかかります。移動、動作、ひとつひとつに不自由があり、手間もかかるしその分時間もかかります。そこで、安心させていただくための一番の設備はトイレなのです。ハートビル法など、バリアフリー関連の法律で定められている通りに設備を整えていただいても、ほんの少しのことで設備がないのと同じ結果になったりするのです。

 もちろん、障がいの度合いや部位は人それぞれです。すべてに対応してほしいと言っているのではありません。私も車イスや体の位置をずらしたりして対応しています。ですから、愛あるバリアフリーをお願いしたいのです。段差をなくせばいいや、とか車いす対応のトイレだから広ければいいやとかで整えてしまわれると、それなりの弊害が生じてしまいます。段差解消のスロープは傾斜がきついと車イスで進むとスロープの裾の方に車イスが自然に流れていきますし、広すぎるトイレだと手すりに手が届かないなんてことになるのです。設備的には完璧なのに、使いにくいということになるのです。せっかくですから、もう少し障がい者の視線で整えていただけると嬉しいのです。

 ぜいたくを言いたいのではありません。せっかくを無駄にしたくないのです。これが今の正直な気持ちです。2020年はバリアフリー元年です。キーワードは「安心」です。よろしくお願いします。